「運動麻痺」とはどのような状態のことをいうのでしょう。
大まかにいうと「麻痺」とは神経になんらかの障害が起きていることを指し、「運動麻痺」とは運動つまり身体を動かす筋肉につながる神経に障害が起きていることを指します。
つまり頭では手や足を動かそうとしているのに、身体が上手く動かないということです。
ひどい症状の場合は頭で手足を動かそうとすることもできないこともあります。
運動麻痺が回復するということ
脳梗塞などを起こした患者さんがリハビリをして、麻痺が回復したといった話をよく耳にするかもしれません。私たちも実際に患者さんの経過をみていて、間違いなく患者さんの運動麻痺は徐々に回復しますし、患者さんご自身も回復を実感されています。
ではなぜ運動麻痺は回復してくるのでしょうか。
脳は神経でできています。脳梗塞などの脳の病気になった後の脳の中は浮腫を起こします。つまり「むくんでいる」状態になります。本当に障害された場所と浮腫でうまく機能できなくなっている場所が出来るのです。浮腫した場所はむくんでいるだけなので、徐々にそのむくみがとれてくることにより、神経が上手く動くようになってきます。
そのため麻痺が回復してくるのです。
脳梗塞から数年たった運動麻痺が回復するということ
私たち人間は効率的に動くことを学習します。動かしにくかったり、痛みがある身体の一部分野があれば、それを代償してスムースに身体を動かそうとします。わざわざ痛みがある方法や動かしにくい方法を何度も行いません。身体の片側に麻痺があれば、当然その麻痺を代償する動きとしてもう一方の元気に動く方の身体を過剰に使用します。そうすると麻痺したほうの身体を動かす機会は減りますし、本来ならば練習の機会になる部分が減ってしまいます。
答えは簡単です。「使っていないからうまくならない」のです。