脳梗塞ではどんな後遺症が現れるのでしょうか?
脳は様々な機能を決められた場所で担っています。そのため、脳梗塞で細胞が死んでしまった場所やその大きさによって様々な後遺症が出てきます。ここではよく見られる後遺症についてお話しします。
脳からの指令がうまく伝わらなくなることで、右側または左側というように片側の手、足、顔などに力が入らなくなったり、動かせなくなってしまいます。
手、足、顔などで温度や触感、痛みを感じにくくなったり、わからなくなってしまいます。例えば熱いものに触れても、脳に熱いという情報がうまく伝わらないのです。
知っているはずの物の名前がわからない、話したいのにうまく言葉が出てこないというように言葉がうまく引き出せなくなったり、人が話していることが理解できなくなってしまいます。また、文字を読んだり書いたりすることもうまく出来なくなってしまいます。
言葉を話すときには、唇や舌、声帯といった器官を使って話しています。物の名前や見たり聞いたりしたことは理解出来ているのに、話すためのその器官がうまく動かなくなり話せなくなってしまいます。
物の名前が思い出せない、知っているはずの人の顔がわからない、使い慣れたものの使い方がわからないというように、認知症のような症状が現れます。
周りから呼びかけても反応が鈍くなったり、周囲の状況を正しく理解できなくなってしまいます。重症化してしまうと、周りからの呼びかけや刺激にも反応しなくなってしまいます。
脳梗塞はどのくらい回復するのでしょうか?
医療では病気がどのくらい回復するのかという見通しのことを「予後(よご)」と呼んでいます。
脳梗塞の予後には、発症した日からの経過日数や年齢が大きく関わると言われています。
一般的に治療やリハビリの開始は、発症から早ければ早いほど回復の可能性が高いとされ、年齢は若いほうが回復の可能性が高いとされています。
最近の医療の発達により、発症から3時間以内に治療を受けることが出来れば、後遺症を残さずに治る可能性が高いと言われています。しかし、脳の細胞が広い範囲が死んでしまった場合、死に至ることもあります。
リハビリに関しては、発症から2~3ヶ月の期間が最も回復しやすく、発症から6ヶ月頃には回復が停滞すると言われています。しかし、予後というのはあくまで予測であるため、6ヶ月を超えてもリハビリを続けたことで回復した方々もおられ、全く回復しないわけではありません。特に発症直後に長い間意識のなかった方や若くして発症された方では6か月以降の回復を記録したという研究も多く発表されています。
しかし、脳梗塞になった方のうち、日常生活に支障のないくらいまで回復する人は20%程度であり、何らかの後遺障害を残してしまいます。高齢であればあるほど、介護が必要になったり、寝たきりになってしまうことが多いというのも事実です。